2011年3月の東日本大震災で被災した人々の語りにフォーカスしたドキュメンタリー「東北記録映画三部作」である「なみのおと」「なみのこえ 気仙沼」「なみのこえ 新知町」の上映会が3月17日(日)に、いくのパーク多目的室で開催され、延べ約50名が参加しました。主催は大阪大学未来共創センターで、共催はいくのふらっとだいがく実行委員会。同実行委員会は、大阪大学社会ソリューションイニシアティブなどとNPO法人IKUNO・多文化ふらっとが構成団体になり、生野区を舞台に大学と地域をつなぐ学びのキャンパスを創造することを目的に発足した。これまでに各種セミナーや「猪飼野@小さな音楽会」等をいくのパークで実施してきた。
今回の映画は、震災の記録にとどまらず記録を撮る、証言を撮ること自体への内容に貫かれている。三部作の上映時間は約6時間にも上り、延々と「3.11」により被災した方々の生の証言が続く。「津波の際は他人のことは気にせず、まず自分から逃げること」を意味する、地域に伝承されてきた「てんでこ」の意味について実際に直面して苦悩する人。津波や原発の被害の影響が残る中、そのまま故郷に残るか、他地域に転出するのかの岐路に立たされている人。復興のあり方につい意見や考え方の違いから言い合う親子など。
言い澱んだり、沈黙したり、嗚咽を抑えきれなかったり、ため息をつきながら絞り出すように話をしたりする場面が続く。想像を絶する「濃密」な経験を前にして語られる言葉はどれも説得力と、人が生きていく上での普遍的なテーマが通底し、横溢している。そのためか長時間の上映にもかかわらず観客の集中力も張りつめていた。すぐに解決できない現実と不確実な未来を前に、向き合い続けることの意味について自省を迫られるドキュメンタリーだ。多文化ふらっとの事務所に設置されているRESPECT図書(写真参照)を活用しながら、今後も大阪大学大学院生たちを軸にして多様な学びの場を創造していきます。