IKUNO・多文化ふらっとのアドバイザーも務めている朴基浩監督が撮ったドキュメンタリー映画「In Between -In Search of Native Language Spaces- はざまー母語のための場をさがして」が、9月21日 いくのパークの多目的室で上映され、市民ら41名が参加しました。主催は、上智大学教員の田中雅子さんが代表を務めるMICLEプロジェクト、共催はIKUNO・多文化ふらっと。
朴基浩さんは、大学卒業後に社会的に孤立する若者の自立支援を行うNPOを立ち上げ、その後「女性の生理」を題材にしたドキュメンタリー作品で映画祭入賞、日本地域コーディネーターとしてBBCなどの番組制作に参画するなど多彩な活動を行っています。
今回の映画は、東京をはじめ日本の地域社会で暮らす外国ルーツの人々や家族を取材して、母国と日本を往還する人々の母語や多文化共生に関わる考えや生活を丹念に追った40分間のドキュメンタリー映画です。外国ルーツの人々の母語に焦点を当てつつ、当事者の「構造的不利」を不問にし続けている日本社会の多文化共生のあり方を厳しく問うとともに、支援者側のある種のステレオタイプ的な理解と実践をも逆照射する内容を含むものでした。
上映会後には、ネパールルーツの外国人への調査報告がおこなわれ、続いて朴監督を囲み、会場の参加者との活発な意見交換が行われました。言語資源論の立場から言えば、「ネパールルーツの外国人当事者にとって母語より英語が重視される傾向にあり、本当に母語は当事者にとって必要か」という問いかけがありました。一方で、大阪における在日コリアンの民族学級の経験などを踏まえて、「母語は言語資源論の立場からのみで語られるのではなく、外国人当事者のアイデンティティとの関係で語られることも重要である」との意見も交わされました。
定住する在日外国人の急増など、その取り巻く状況が大きく変化する中で、多文化共生に関わる議論の深まりと、新たなムーブメントをつくり出すことこそが主催団体や朴監督の同映画の制作と上映運動の隠された意図でもあるようでした。
同映画は、今後東京、名古屋(10月13日)、福岡(12月7日)など各地で上映される予定。
多文化共生や外国人支援に関心を寄せる人は必見のドキュメンタリー映画です。