シンポジウム 「いくの発! 多文化共生教育の実践と地域連携」が、1月28日(土)に「いくのパーク」の多目的室において、対面・オンライン合わせて86名の市民が参加する中、開催されました。主催はわかばプロボノプロジェクト実行委員会(大阪府立大阪わかば高/NPO法人IKUNO・多文化ふらっと)。協力は生野区役所保健福祉課(子育て支援室)。
5人に1人が外国籍住民の多文化共生のまち、大阪市生野区。今回のシンポジウムは、同区にある府内8校目の外国ルーツ生徒の入試特別「枠校」である府立大阪わかば高校の多文化共生教育の現状や、「教育」「子育て」を軸とした学校・行政・地域との連携・協力の「現住所」について報告し、今後の課題について探る機会として取り組まれました。
1部の実践報告では、①大阪わかば高校の多文化共生教育の実践として同校の李貞栄先生が具体的な取り組み内容について報告をされました。続いて、IKUNO・多文化ふらっとの森本宮仁子・代表理事が2022年11月に開催された「いろんなことば&いろんなえほん de いくのっこパーク」と題して行われたわかば高校の外国ルーツの生徒たちによる10か国の多言語による絵本の読み聞かせの取り組みについて報告がなされました。
Ⅱ部のシンポジウムは、外国ルーツ高校生のキャリア教育を考える~大学と企業の取り組み事例~をテーマにディスカッションが行われました。パネリストは中村昌子さん(大阪国際大学)、森知彦さん(株式会社住友商事)、森山玲子さん(大阪わかば高校)が登壇されました。コーディネーターである今井貴代子さん(大阪大学社会ソリューションイニシアティブ)の話をきっかけに、それぞれの立場から発題と討論が行われました。
森山さんは、①日本語指導が必要な外国ルーツの生徒の府立高校の入試と進学、②「枠校」での取り組みの成果、③わかば高校キャリア教育の課題と取り組み内容について、長年の教員経験と実践に裏打ちされた報告がなされました。森さんからは、同社の社会貢献事業「100SEED」の一環として外国ルーツ青少年に対する教育支援事業が取り組まれていること。具体的には多文化ふらっとをはじめ全国7つの外国ルーツ青少年を支援する団体へのプロボノ支援事業の展開の様子、また同事業のアンケート調査の報告や社内への肯定的影響などについて報告されました。
続いて、中村さんは、新渡日の外国ルーツの高校生を対象にした同大学の特別入試の制度や入学後のキャリア教育の内容についても言及されました。シンポジウム内容を受けて、筋原章博・生野区長から区政の理念である「異和共生」の考え方や、今後ともに公民連携の力で生野区を誰もが暮らしやすい多文化共生のまちにしたい旨の総括コメントがありました。高校、大学、企業、行政のそれぞれの立場から多文化共生と地域連携を考える有意義な機会となりました。