公開パネルディスカッション
「みんなとの『つながり』を地域の変化・変革へ」を開催しました(6月7日)
休眠預金活用事業「アウトリーチ手法による外国ルーツ住民の自立支援事業」の一環として、公開パネルディスカッション 「みんなとの『つながり』を地域の変化・変革へ」が、6月7日(金)に、大阪市生野区にある「いくのパーク」多目的室で開催されました。当日全国で外国ルーツの子どもや住民を支援しているNPO11団体をはじめ70名の参加者が集いました。主催は同事業の資金分配団体である(公財)日本国際交流センター(JCIE)とジャパン・プラットフォーム(JPF)、現地の実行団体であるNPO法人IKUNO・多文化ふらっとが共催しました。
主催者あいさつに立った「多文化ふらっと」の宋悟理事・事務局長は、「生野区は旧植民地出身者とその子孫の在日コリアンの集住地域であり、地域の日本人と清濁併せ飲みながら生活してきた地域。いまは約80か国の外国人が暮らす多国籍・多文化のまちに大きく変化してきている。多文化共生のまちづくりのロールモデルになりえるか。そのダイナミズムを体感する機会になればうれしい。また今日のテーマであるつながりを地域の変化・変革につなげるために、市民・行政・企業の各セクターがその境界をまたいで連携・協力していくうえでの課題や方途について積極的に議論する場になればと思う」と述べました。
1部では、各地の事例報告として東京都豊島区などで活動する(公社)シャンティ国際ボランティア会の村松清玄さんと、神戸市に活動拠点をもつ認定NPO法人まなびとの理事長である中山迅一さんが発題しました。区社会福祉協議会や放課後の学童保育を活用するなど、それぞれの地域や活動の特性に合わせた外国ルーツの若者・青少年の支援活動について意見が交わされました。2部では、大阪市生野区に焦点を当て、筋原章博・生野区長、徳永達志・ロート製薬株式会社広報・CSV推進部、隅田耕史・生野区NPO連絡会副代表、森本宮仁子・多文化ふらっと代表理事が登壇し、市民・行政・企業セクターの立場から誰もが暮らしやすい地域づくりについて、会場の参加者を交えて積極的な意見交換を行いました
筋原区長は区政推進の基本的な理念として「異和共生」を掲げていること、生野区の外国ルーツ住民が急増していることに言及し、「人口減社会の日本社会の中で、生野区が多文化共生のロールモデルになることが必要だ」と語りました。森本代表はオールドカマーの「在日」が被ってきた差別や偏見の歴史や生活を振り返りながら、「外国ルーツの人々の人権や生活を考える際に『在日』の歩んできた歴史の到達点(限界性も含め)について忘れてはならない」と強調しました。ディカッションの最後にモデレーターを務めた毛受敏弘・JCIE執行役員は「2040年の在留外国人総数は1千万人になると推定される。日本の地域社会の中で、生野区に全国の多文化共生のまちづくりを先導する役割を期待したい」と締めくくりました。
プログラム終了後には、全国各地から参加したNPO関係者など45名が参加する中、懇親会が持たれ、積極的な交流と情報交換が行われました。店舗のスタッフの方も「この場、ものすごい熱量ですね」と語るほど、有意義な交流の場となりました。翌日は午前中から、「多文化ふらっと」の木村和弘理事と宋事務局長の案内で、JR鶴橋駅を起点にコリアタウンのフィールドワークが実施されました。古代の朝鮮半島と大阪との交流の歴史やコリアタウンの成り立ちなども学びながら、生野区の多文化共生の歴史的な厚みと地政学的な広がりを実感する機会にもなりました。参加されたすべての皆様に感謝!