IKUNO・多文化ふらっとは、2020年8月22日に神戸市長田区にある神戸市の「ふたば学舎」において、多文化共生に関するまちづくり視察を実施しました。当日多文化ふらっとメンバー10名が参加しました。神戸市は開港以降外国人住人が多く暮らす地域であり、現在も外国人住民比率が高いまちです。「ふたば学舎」は、2008年に閉校した旧二葉小学校の跡地で地域活性化を担う人材づくりをめざして運営されています。その施設内には、多文化共生のまちづくりを担う「ふたば国際プラザ」、「神戸学院大学地域研究長田センター」などの団体も入っています。
午前中に行われた第1部ではasobi基地代表の小笠原舞さんが、「親子の居場所づくりの経験と長田区のまちづくりの現状を学ぶ」というテーマで講演を行いました。小笠原さんが取り組んでいる活動について紹介があり、その後に質疑応答という進行でした。
参加したメンバーからは以下の感想が聞かれました。「メディアへの露出の仕方や言葉の選び方など魅せるということを意識した対外広報活動は参考にしていきたい」、「違いが日常に当たり前にあるという価値は、ハード面を整えただけではなしえない地域の文化に根ざしたものであることを感じた」、「共通のビジョンや価値観をつくることによって、違いによって否定されない居心地のよい空間を生みだす」など。
午後からの第2部では神戸定住外国人センター(KFC)理事長の金宣吉さんが「神戸定住外国人センター(KFC)の活動とふたば学舎の成り立ちを学ぶ」というテーマで講演を行いました。まずふたば学舎の施設を案内していただき、その後KFCの成り立ちについてご紹介いただきました。
「神戸港開港以降からの神戸在住の外国人の歴史や人権状況を踏まえずに、表面的な多文化共生施策をすすめるのには違和感がある」との発言は、長年地域に根差しながら活動してきた金理事長の言葉であり、重みを感じました。多文化ふらっとの活動地域である大阪市生野区での多文化共生のまちづくりを実践していく際にも重要な視点であることを再認識しました。
また「多様性という言葉が消費される世の中から脱却し、水平で多元的な関係づくりを推し進める」など、KFCが当事者性を中心において活動をつづけている様子が強く伝わってきました。
今回の視察を通じて、今後の生野区の多文化共生のまちづくりをすすめるために新たな視点をえることができました。今後、多文化ふらっとが実践していく際に、大切にすべき核となる価値を再認識できた有意義な研修でした。